機能性ペプチドの摂取はいかがでしょうか~機能性表示食品のススメ~
2015年から始まった機能性表示食品制度ですが、届出件数は2019年12月4日現在で2,567件にも及んでいます。
選択肢が増えた一方で、どの機能性表示食品を摂取したらよいか、消費者としては悩んでしまうかもしれません。
そこで今回は、機能性表示食品として受理されている成分のひとつ「ペプチド」についていくつかご紹介いたします。
ペプチドとは?
タンパク質は、大量のアミノ酸が連結した構造をしており、体内の消化酵素などによってアミノ酸に分解されます。
消化酵素が働く際には、少しずつアミノ酸の連結を分解していきますので、少数のアミノ酸のみが連結したものが生成され、これが「ペプチド」と呼ばれています。
タンパク質を構成するアミノ酸は約20種類存在するため、アミノ酸が連結したペプチドの種類は膨大な数があり、様々な生理活性があるといわれています。
機能性ペプチド その1
ラクトノナデカペプチド(NIPPLTQTPVVVPPFLQPE)~認知機能改善
「ノナデカペプチド」とはアミノ酸が19個連なっているペプチドという意味です。
ラクトノナデカペプチドは「カルピス酸乳」から発見された乳由来の成分で、下記のように中高年の認知機能への効果が報告されています。
■ものごとを忘れやすいと感じている中高年の方の認知機能の一部である計算作業の効率維持(2.1mg/日)※1
■情報処理作業の効率の低下を感じている中高年を含む成人の認知機能の一部である視覚情報作業の効率維持(視覚情報を組み合わせて全体を推理する力)(4.2mg/日)※2
■同年代に比べて記憶力が低下している中高年を含む成人の認知機能の一部である記憶力(物のイメージを思い出す力)の維持(4.2mg/日)※3
※1 薬理と治療 45(8) 1303-1314(2017)
※2 応用薬理 95(3/4)63-72(2018)
※3 応用薬理 95(3/4)53-62(2018)
アサヒグループ食品の「おいしく解けるショコラ」に配合されています。
消費者庁データベースhttps://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=41910090580401
機能性ペプチド その2
トリペプチドMKP~血圧降下作用
「トリペプチド」とは、アミノ酸が3つ連なっているペプチドという意味で、メチオニン-リジン-プロリン(MKP)という3つのアミノ酸から構成されます。トリペプチドMKPには、血圧上昇物質を作る酵素の働きをブロックする効果があります。
高めの血圧(正常高値血圧)を有する疾病に罹患していない方の血圧(収縮期血圧)を下げることが期待されています(100µg/日)※4。
100μgとは、1gの1万分の1のことであり、非常に少ない摂取量で機能性があると考えられます。
※4 薬理と治療 46(4):529-537 (2018)
森永乳業の「トリプルヨーグルト」に配合されています。
消費者庁データベース
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=41911180260800
機能性ペプチド その3
イミダゾールジペプチド~疲労感の軽減
鶏肉などの食肉に豊富に含まれているペプチドで、身体的な疲労を自覚している方に適しています。日常の生活で生じる身体的な疲労感を軽減する機能が報告されています(200mg/日、400mg/日)※5。
※5 薬理と治療37(3)255-263(2009)
日本予防医学株式会社の「イミダペプチド」に配合されています。
消費者庁データベース
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=41911140070401
今後も広がる機能性ペプチドの世界
今回ご紹介したペプチドは、機能性表示食品として販売されている商品からピックアップしたものです。これら以外にも、様々な機能性ペプチドの研究が全世界で行われています。
今後研究が発展し、私たちのQOL(Quality of Life)が飛躍的に向上するようなペプチドが開発されることを期待しています。
ライター紹介
技術士(生物工学)
研究成果をもとに、製造現場での実用化を担当。
持ち前の機動力を活かします!
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