大麦と小麦、どこが違う?大麦小麦の見分け方



麦には多くの種類がありますが、目にする機会が多いのが大麦と小麦です。

大麦と小麦は、いずれも「麦」の名前がついていますが、分類学上はセロリとコリアンダーくらいには違う植物。にもかかわらず日本でどちらも「麦」と呼ばれているのは中国の影響で、読み方は違いますが、中国でも漢字は日本と同じ大麦と小麦です。

中国において「大」「小」の字は、物理的な大きさだけでなく、価値の大きさを表す意味でも使われ、大麦・小麦の大小はこちらの意味で名付けられました。

大麦は小麦に比べると殻が剥がれやすく食用にしやすいため、「使い勝手がよく質の良い麦」という意味で大麦、「剥きにくく用途が限られる麦」程度の意味で小麦と呼ばれたという説が有力です。

 

 

実の付き方でわかる、大麦と小麦の見分け方

大・小の字がついているものの、穂や実の大きさを表しているわけではないため、見た目はよく似ています。普段見慣れていない人だと、麦畑を遠目に見てもなかなか違いがわからないかもしれません。

近づいて見る必要はありますが、大麦と小麦は、穂の実の付き方と芒(ノギ)の伸び方である程度見分けることができます。

大麦(六条大麦)

小麦

写真の上が大麦(六条大麦)、下が小麦です。大麦の場合は実が直線的に並んでいるのに対して、小麦は実の並びが雑然としているのがわかるでしょうか。

また、実の先端に伸びている針のような毛のような部分も少し違っていますね。この部分は芒(ノギ)といいますが、大麦の芒は長くまっすぐなのに対して、小麦の芒は頼りなく曲がっています。小麦は、品種によっては芒が非常に短くほとんど見えない場合もあります。

 

 

焼酎の二条大麦、麦ごはんの六条大麦

さて、大麦と小麦は全くの別種でしたが、大麦自体にも種類があり、大きく二条大麦と六条大麦に分かれます。

上で小麦との比較として挙げた写真は六条大麦でしたが、下は二条大麦。違いがわかりますか?

二条大麦

上で紹介した六条大麦の穂はなんとなく立体感があるのに対して、下の二条大麦はなんだか平たい感じがしませんか?ちょっと見にくいのですが、写真の右下の方に少しだけ写っている横向きの穂を見ると、「平たい」感じが判りやすいと思います。

六条大麦と二条大麦の違いは、穂を上から見るとよくわかります。

左は六条大麦、右は二条大麦

六条大麦の穂は、同じ大きさの6枚の花びらがついた花のような形をしていますが、二条大麦の穂は6枚のうち2枚の花びらだけが大きくなったような形になっています。二条大麦の写真をよく見てください。大きな2つ実の中心に、小さな2つの実が見えると思います。

二条大麦の実は六条大麦の実に比べると大型で、重さは2倍程度ありますが、1つの穂についている実の数は少ないので、全体的な収量では二条大麦の方が少なくなります。

発酵大麦エキスの原料になっているのは二条大麦の方。二条大麦は、主に酒造りに使われる麦で、発酵大麦エキスのもとになる焼酎のほかにも、ウイスキーやビールの原料にもなっており、「ビール麦」とも呼ばれていますよ。六条大麦に比べて粒が揃っていて発酵を管理しやすいこと、デンプン質が多いことなどの理由から、お酒造りに向いています。

 

あなたの家の近くには、麦畑はありますか?稲に比べると作付けは少ないですが、西日本では二条大麦が、東日本では六条大麦が、比較的栽培されています。

収穫時でも葉が緑色をしている稲と違い、大麦も小麦も収穫時には全身が黄金色に変わります。実りの季節の麦畑は、まさに一面が黄金色に輝く美しい眺めになります。ぜひ探しに行ってみてくださいね。

 

 


 

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