発酵大麦エキス中のD-アミノ酸



発酵食品に含まれるアミノ酸はうまみの源です

三和酒類では発酵大麦エキスの機能性を解明するべく、様々な研究に取り組んでいます。

今回はその中から、D-アミノ酸の分析結果についてご紹介します。

 

 

美容分野で注目のD-アミノ酸

アミノ酸にはL体(L-アミノ酸)とD体(D-アミノ酸)があります。L体とD体は右手と左手の関係のように互いに鏡像関係(鏡像異性体)にある異性体です。天然に存在するアミノ酸のほとんどはL体ですので、これまでD-アミノ酸は注目されてきませんでした。

しかし、近年分析技術の向上によりL体とD体を区別して定量することが可能になり、ヒトの生体内にもD-アミノ酸が含まれることが明らかになってきています。

そして、D-アミノ酸の由来や、生理機能に関心が寄せられ、D-アミノ酸が美容に有効であるといった研究も進められてきました。

 

 

発酵大麦エキスのD-アミノ酸

D-アミノ酸は乳酸菌や酢酸菌によって生産され、酒、黒酢、ヨーグルト、チーズなどの発酵食品に多く含まれることが知られています。

焼酎粕にも含まれるのでは、と思いましたが、D-アミノ酸含量に関する知見を調べた限りは見当たりませんでした。そこで、焼酎粕を加工して製造されている発酵大麦エキスに含まれるD-アミノ酸を定量してみました。

 

分析結果を下表に示します。

結果としては、残念ながら発酵大麦エキスにはD-アミノ酸はほとんど含まれていませんでした。L-アミノ酸としては豊富に含まれていることがわかります。

表. 発酵大麦エキス中のアミノ酸含量(L体、D体) (trace: 定量限界以下, nd:検出限界以下、na:識別限界以下)

 

日本酒にはD-アミノ酸を含む報告があるのに、焼酎副産物からできる発酵大麦エキスにD-アミノ酸がほとんど検出されなかったのはなぜでしょうか。

 

理由を考察してみます。

141種類の日本酒に含まれるD-アミノ酸を分析した文献(1)によると、日本酒の銘柄によってD-アミノ酸含量にはバラツキがあり、生酛(きもと)づくりのものや長期熟成のものに、D-アミノ酸含有量の高い傾向がみられたと報告されています。生酛造りとは、乳酸菌を活用した伝統的な酒造りの手法であり、日本酒中のD-アミノ酸の生成には乳酸菌の関与が考えられています(2)。

 

一方で、焼酎の製造工程においては乳酸菌が大きく関与しません。焼酎もろみ中にも乳酸菌が存在しているのですが、乳酸菌の数や種類などがD-アミノ酸の生成には適していないことが考えられます。

発酵食品にD-アミノ酸が多く含まれる、とは言われていますが、その含有量は食品によって大きく違い、その違いは発酵に関与する微生物に起因するようです。

 

 

【文献】

(1)Trace Nutrients Research 28:65-69(2011)日本酒中のD-アミノ酸の定量と生成機構の解析 岡田ら

(2)Trace Nutrients Research 29:1-6(2012)生酛、乳酸菌添加生酛、速醸生酛造りの日本酒醸造工程中のD-アミノ酸の定量的解析 郷上ら

 


ライター紹介

岡野(おかの)

乳酸菌など有用な微生物の研究担当。
社内に眠る宝の山を検索中。

 

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