話題の健康食「大麦」の種類と用途、小麦との違いについて



健康に良いとネットやテレビで話題の「大麦」。この大麦にはどんな種類があって、私たちの食生活にどのように関わっているのでしょうか。そして、私たちの生活で馴染みのある「小麦」とはどのように違うのでしょうか。

今回は、大麦の種類や用途、小麦との違いについて解説していきます。

 

大麦の種類

大麦は小麦や米などと同じイネ科の植物です。

大麦は大きく分けて「二条と六条」「うるち性ともち性」「はだか性と皮性」の3つの要素によって分類されています。

これらの要素の違いが、大麦の特徴を決めており、用途にも様々な違いが生まれます。

 

 

はだか麦と皮麦

はだか性は、突然変異により穀皮が剥がれやすくなったもので、小麦のようにツルツルした子実が特徴です。籾すりしやすいので、麦ごはんや麦味噌に利用されることが多いです。 

 

一方で皮性は、実が穀皮と癒着しているため、揉んでも皮が剥がれないのが特徴です。

籾すりに手間がかかるので、直接食べるのではなく、麦茶やお酒に利用されることが多いでしょう。 

 

皮麦は小麦よりも粒が大きめで、はだか麦は小麦と粒の大きさはほとんど変わりません。

 

 

二条種と六条種

二条と六条は、結実する穂の数によって分けられます。小花が二条に並んでいるものをに並んでいるものを「二条種(大粒大麦)」、小花が六条に並んでいるものを「六条種(小粒大麦)」と読んでいます。 

 

二条種(大粒大麦)は小花が少ない分粒が大きく、大きさが揃っているという特徴があります。この特徴によって醸造の管理がしやすいため、主にビールや焼酎などの酒類に利用されています。 

 

六条種(小粒大麦)は二条種(大粒大麦)と比べて粒が小さいですが、1つの稲から多く取れるので、麦ごはんや味噌などに利用されています。

 

 

うるち性ともち性の違い

お米と同様に、大麦にも「うるち性」と「もち性」が存在します。この2種類は炊飯した時の粒の粘り気を表現する言葉で、「うるち性」は粘り気が弱く、「もち性」は強いです。

 

この2つを分けるのに関わってくるのが、種子中のデンプンを構成する2種類の多糖類「アミロース」と「アミロペクチン」です。アミロースが多く含まれる大麦は、炊飯した時の粘り気が弱く、パラパラとした食感になります(うるち性)。逆にアミロースが少なくなる、もしくはほぼ含まない状態の大麦は、炊飯すると、もちもちとした粘り気のある食感(もち性)になります。詳しい説明は省きますが、アミロースとアミロペクチンの分子構造の違いと組成バランスによって、このような食感の違いがもたらされています。

 

余談になりますが、もち性大麦は、血糖値上昇の抑制や血中コレステロール値を低減させるはたらきを持つ食物繊維βグルカンを多く含んでいることが知られています。

 

 

大麦と小麦の違い

大麦と小麦は同じイネ科の植物ですが、その中身は全くの別物です。

まず、小麦はイネ科コムギ属で、大麦はイネ科オオムギ属に分類されます。

 

小麦は、種子の胚乳の部分を粉末状に加工した「小麦粉」の状態で主に利用されます。

小麦には、グルテンを構成するタンパク質が豊富に含まれています。グルテンには、ガムのように伸びる性質があり、小麦粉が原料となっているパンやうどん、中華麺、パスタ、菓子などは、この性質を利用して作られています。

大麦は、グルテンを構成するタンパク質を持たず、グルテンを形成できません。小麦粉のような使い方はできませんが、醤油や味噌などの調味料、ビールや麦茶などの飲料、麦飯の原料になります。 

 

また、大麦は食物繊維を多く含む食品として知られていますが、その6割が水溶性食物繊維です。ちなみに、食物繊維には不溶性と水溶性があります。

不溶性食物繊維は水に溶けず、小腸への吸収が少ないため、腸内の不要物を絡めながら体外へ排出され、便量を増やして便秘解消効果も期待されています。

一方で水溶性食物繊維は水に溶けやすく、血中の血糖値やコレステロール値の上昇を抑える効果があります。また、便の水分量を増やして柔らかくする効果もあります。

 

 

押し麦と丸麦の違い

押し麦とは、そのままだと食べにくい大麦を、蒸してやわらかくしたあと、ローラーなどで押しつぶして平たくしたものです。押し麦に加工することで吸水率が上がり、ふっくらとした炊き上がりになるので食べやすくなります。

 

丸麦とは、大麦を精白しただけで、押しつぶしていない麦のことで、主にもちもちとした粘性があるもち性の大麦で作られています。大麦本来の風味と、プチプチとした食感を楽しむことができます。

 

 

まとめ

大麦は小麦と比べると知名度が低いですが、実は麦ごはんや麦味噌、ビールや焼酎などに加工されている私たちの身近な食品です。また、この大麦は普段摂取しにくい水溶性食物繊維を含んでいる食材です。美容や健康維持などにも活躍が期待できるので、日々の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。


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