メタン発酵で焼酎粕からエネルギーを取り出す仕組み



三和酒類では焼酎粕の一部をメタン発酵によってエネルギーに変換し、利用しています。本記事ではメタン発酵について解説していきます。

 

メタンとは天然ガスの主成分で、エネルギー源として活用されています。

メタン発酵で得られたメタンを含んだガスはバイオガスと呼ばれ、発電に用いたりボイラーの燃料として使用されたりしています。

三和酒類では焼酎粕から得たバイオガスをボイラーの燃料として用い、熱エネルギーに変換して活用しています。

 

 

■メタン発酵のしくみ

メタン発酵の仕組みはアルコール発酵や乳酸発酵と比べて非常に複雑です。というのも、アルコール発酵であれば酵母が、乳酸発酵であれば乳酸菌が主に行います。一方、メタン発酵は1種類の微生物だけでは成り立ちません。

 

下の図はメタン発酵の仕組みを示したものです。

メタン発酵は主に酸生成相とメタン生成相に分けて考えることができます。

焼酎粕に含まれるたんぱく質、炭水化物、脂質は、酸生成相において酪酸、プロピオン酸などの揮発性脂肪酸に分解されます。

揮発性脂肪酸は、メタン生成相において、酢酸、水素に分解され、その後メタン生成菌によってメタンが生成されます。

つまり、メタン発酵には酸生成菌や酢酸生成菌、メタン生成菌など、様々な微生物が複雑に関与しています。

 

メタン発酵 二相四段階説 【参考】メタン発酵 野池達也編著 技報堂出版

 

 

■メタン発酵の利点と欠点

 メタン発酵は嫌気培養です。つまり、酸素が要らないので、メタン菌が増殖するために空気を送り込んでやる(曝気といいます)必要がありません。

曝気はとてもエネルギーが必要で電気を多く消費するので、曝気が必要のないメタン発酵は非常に環境にやさしい処理方法と言えます。

 

 一方でメタン生成菌は非常に増殖速度が遅いというデメリットがあります。

微生物の増殖速度は倍加時間(細胞の数が2倍になる時間のこと)であらわされます。大腸菌であれば30分、酵母であれば2時間で2倍に菌数が増えます。一方で、ある種のメタン生成細菌の倍加時間は3~7日と報告されています。

つまり、メタン生成細菌の増殖はとても遅いので、メタン発酵を立ち上げて安定的にバイオガスを得るために非常に時間を要します。

また、滞留時間を稼ぐために発酵槽の大きさを大きくする必要もあります。

 

SDGs(持続可能な開発目標)の一つに「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに(Affordable and Clean Energy)」が掲げられています。

メタン発酵は二酸化炭素排出量の削減に寄与できる環境にやさしい技術ですので、今後の更なる発展が期待されます。

 

 


ライター紹介

岡野(おかの)

乳酸菌など有用な微生物の研究担当。
社内に眠る宝の山を検索中。

 

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