焼酎粕の農業利用
-焼酎粕肥料の使い方-



近年、持続可能な農業生産である環境保全型農業へのニーズが高まっています。

三和酒類では地域資源循環への取組みとして、大麦焼酎製造工程で発生する醸造副産物(大麦焼酎粕)を濃縮加工し、農業用資材として活用しています。

今回は大麦焼酎粕濃縮液を肥料として使用する際に役立つ情報をお伝えします。

 

 

■大麦焼酎粕濃縮液にはどんな肥料成分が含まれているの?

大麦焼酎粕濃縮液には窒素3%、リン酸1%、カリウム1%が含まれています。窒素成分の大部分は有機態窒素です。このほか、クエン酸などの有機酸やポリフェノールを含んでいます。

大麦焼酎粕濃縮液に含まれる有機態窒素は、施用から1週間後までに無機化のピークを迎え、その後緩やかに無機化が進みます。

有機肥料の中では比較的無機化の進行が早いと言われており、最大無機化率は土壌の条件にもよりますが、水田で約60~70%、畑で約40~50%となります。

 

 

■植物の発芽に及ぼす影響は?

大麦焼酎粕濃縮液には有機酸やポリフェノールが含まれており、pH4程度と低くなっています。

大麦焼酎粕濃縮液を土壌に施用すると、施用直後は土壌pHの低下が観察されますが、24時間経過後は通常濃度まで回復します。

 

コマツナを用いた試験では、施肥後24時間以内に播種すると発芽率が低下することが確認されていますので、施肥後すぐに播種するのではなく、数日間空けることをお勧めします。

 

 

■肥料効果はあるの?

ナバナを用いて栽培試験を行ったところ、大麦焼酎粕濃縮液を100kg/a施用した場合、化成肥料を用いた慣行施肥体系と同等の生育および収量が得られたとのことです。

基肥として使用される化成肥料を、大麦焼酎粕濃縮液と置き換えることが可能なことが明らかとなりました。

化学肥料の使用量を減らし、施肥コストの低減に貢献可能な技術といえます。

 

 

■おわりに

大麦焼酎粕濃縮液は、麹菌や酵母が大麦を発酵することで作られるオーガニックな素材です。また、化成肥料の代替として、肥料活用が可能であることが科学的に明らかにされています。

有機肥料には窒素成分以外の様々な成分が混ざっていますので、結果的に単肥よりも複合的な効果を発揮する可能性があります。

 

三和酒類では、これからも大麦焼酎粕を通じて持続可能な社会づくりに貢献して参ります。

 

 

大麦焼酎粕の農業利用についてさらに詳しく知りたい方は、以下の文献をご確認ください。

『大麦焼酎粕濃縮液(TS50)の肥料利用における問題点の検討』

森﨑ら.大分県農林水産研究指導センター研究報告(農業研究部編) 第6号(2019):1-12

 

 


ライター紹介

ゴトウタカヒロ

博士(農学)

「発酵大麦エキス」の農業利用を研究中。
食品用途以外での可能性を広げます。

 

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