アイスクリームが美味しい理由
暑い夏が近づいてくると、冷たくて体を冷やしてくれる食べ物が恋しくなります。体が熱くて食欲も落ちて…そんなときにもアイスクリームなら食べられる、という人も多いのではないでしょうか。
売れる食べ物と気温の関係
暑い夏にアイスクリームやそうめんなどの冷たいものが食べたくなったり、寒い冬におでんや鍋料理など温かいものが食べたくなったりと、気温によって売れる食べ物は全然変わってきます。
日本には夏と冬の寒暖差が大きい地域が多いので、気象に合わせて販売する商品を変えていく、いわゆるウェザーマーチャンダイジングが浸透しています。商品ごとに売れ始める目安の気温というものがあり、アイスクリームの場合は、一般的に気温23℃あたりからよく売れ始めるそうです。
アイスクリームが美味しくなる気温
また、アイスクリームが美味しいと感じる気温についても、面白い調査があります。
日本アイスクリーム協会が2019年に行った調査によると、アイスクリームが美味しいと感じる気温は25℃~30℃、という回答が最も多く得られたとのこと。
また、美味しいと感じるアイスクリームの種類も気温によって違っており、濃厚な味のアイスクリームは25℃程度のときに、さっぱりした味のアイスクリームは30℃程度のときに、そして30℃を超えると、かき氷が「美味しい」と感じる人が多くなるそうです。
アイスクリーム白書 2019より(https://www.icecream.or.jp/biz/research/pdf/hakusho2019.pdf)
アイスクリームの美味しさの理由
気温が高いときにアイスクリームが美味しく感じることはわかりましたが、なぜ美味しいのでしょうか。
冷たい食べ物であることはもちろんですが、アイスクリームの美味しさには、なめらかな口当たりとくちどけの良さが大きく関わっています。
なめらかな口当たりのワケ
アイスクリームにはたくさんのフレーバーがありますが、もっとも基本的なものは、牛乳、卵黄、砂糖、生クリームがあれば作れます。ですが、これらを混ぜて冷凍庫で凍らせても、アイスクリーム味の氷ができるだけで、なめらかなアイスクリームにはなりません。
アイスクリームの柔らかさを作っているのは空気です。
アイスクリームは混ぜた材料を撹拌しながら凍らせて作ります。攪拌しながら凍らせることで、空気がたくさん取り込まれ、氷の粒と粒の間には隙間ができます。氷のように隙間なくがっちりと凍ってしまわないので、スプーンですくえる程度の柔らかさに凍り、なめらかな口当たりが実現できるというわけです。
溶けるようなくちどけのワケ
アイスクリームは、口に入れるとすべての成分が分離することなくスッと溶けるようになくなります。これは、アイスクリームの成分が細かく均一に混ざっているからです。
アイスクリームのもとになる液体には、乳脂肪分やタンパク質がたくさん含まれています。目には見えませんが、この中の脂肪分やタンパク質は様々な大きさの塊(粒子)になって存在しています。このまま凍らせた場合、同じ成分同士が集まってより大きな塊となって凍っていくため、同じ一口の中にくちどけの異なる部分ができてしまいます。
市販のアイスクリームは、凍らせる前にこれらの粒子を細かく砕いて均一に混ぜるホモジナイズという処理を行うため、全体が均質になり、溶けるようなくちどけが実現できるというわけです。
2021年、おかし業界ではピスタチオ味が流行中。アイスクリームにもピスタチオ味のものがたくさん出ているようです。美味しいアイスクリームを食べて、暑い夏を楽しく過ごしましょう。