脱脂粉乳培地でのバーレックスの効果
バーレックスおよびバーレックスSは、発酵大麦エキスから作られた天然の微生物用培養基材です。
大麦に含まれるたんぱく質や炭水化物が焼酎白麹菌の酵素で低分子化されていることに加え、各種ミネラルが豊富かつバランス良く含んでおり、乳酸菌、 ビフィズス菌、酵母などの培地窒素源として適しています。
乳酸菌の培養基材としてのバーレックスの有用性については実験用試薬培地との比較でもご紹介していますが、今回は、応用例として、脱脂粉乳にバーレックスを添加した培地での乳酸菌培養試験の結果をご紹介します。
試験の概要
脱脂粉乳を基本とした、3種類の培地で乳酸菌を培養し、培養後の生菌数を比較しました。
培養には、以下の2種類の乳酸菌を用いました。
- Lactobacillus brevis NBRC 12005
- Lactobacillus fermentum IFO 3071
培地組成
脱脂粉乳培地(添加なし)
脱脂粉乳10%、グルコース1%
バーレックス添加培地
脱脂粉乳10%、グルコース1%
バーレックス1%、炭酸水素ナトリウム0.14%
酵母エキス添加培地
脱脂粉乳10%、グルコース1%
酵母エキス1%、炭酸水素ナトリウム0.14%
培養条件
使用器具 90L発酵槽
温度 37℃
撹拌速度 100rpm
試験の結果
Lactobacillus brevis NBRC 12005
添加なしの脱脂粉乳培地では菌の増殖は認められないことから、脱脂粉乳のみではこの乳酸菌の培養が困難であることがわかります。
一方で、バーレックスを添加した培地では菌の増殖が認められており、バーレックス添加によって脱脂粉乳培地での植物性乳酸菌培養が可能になったと考えることができます。
また、下図の通り、酵母エキス添加によっても乳酸菌培養は可能になることがわかりますが、培養開始後24時間のバーレックス添加培地において、生菌数が最大になりました。
Lactobacillus fermentum IFO 3071
こちらの乳酸菌については、添加なしの脱脂粉乳培地でもある程度の菌の増殖は認められましたが、他の2種類の培地に比べて、バーレックス添加培地においてはより多くの菌増殖が見られ、培養開始後16時間で生菌数が最大となりました。
今回の試験結果より、脱脂粉乳培地へのバーレックス添加の有用性が示されました。